CodexとClaude Codeが登場し、AIコーディング元年が本格化しています。
プログラミングを学んでいる方や現役エンジニアの皆さん、「AIがコードを書いてくれる時代」がついに本格的にやってきました。2025年に入り、OpenAIの「Codex」とAnthropic社の「Claude Code」という2つの強力なAIコーディングツールが注目を集めています。「どちらを使えばいいの?」「結局何が違うの?」という疑問をお持ちの方も多いでしょう。本記事では、両ツールの違いを分かりやすく解説し、あなたに最適な選択肢を見つけるお手伝いをします。
OpenAI Codexは、ChatGPTで有名なOpenAI社が2025年5月にリリースした新しいコーディング支援ツールです。一番の特徴は「同時に複数の作業ができる」こと。例えば、ログイン機能を作りながら、同時にバグ修正もして、テストも書いてくれる、といった具合です。
使い方も簡単で、ChatGPTを使ったことがある方なら、すぐに慣れることができます。「ユーザー登録画面を作って」「この部分にバグがあるから直して」といった普通の日本語で指示するだけで、きちんと動くコードを書いてくれます。
実際の性能テストでは、プログラミング課題の87.5%を正解する優秀さを見せており、特にアルゴリズムの問題や細かいバグ修正が得意です。
一方のClaude Codeは、AI研究で定評のあるAnthropic社が開発したツールです。2025年2月にリリースされてから、その驚異的な性能で話題になっています。
最大の特徴は「理解力の高さ」。大きなプログラムの全体を把握して、複数のファイルにまたがる複雑な変更も一度にできてしまいます。まるで経験豊富なプログラマーが隣にいて手伝ってくれるような感覚です。
性能テストでは72.7%という業界トップクラスの成績を記録。特に「既存のプログラムのバグを見つけて修正する」作業では、人間のプログラマーに匹敵する能力を発揮しています。
プログラミングの基礎的な課題については、両者とも非常に高い能力を持っています。Claude Codeが92%、OpenAI Codexが90.2%という結果で、実用面ではほとんど差がありません。
ただし、得意分野には明確な違いがあります。OpenAI Codexは「きっちりとしたアルゴリズム」や「数学的な計算」が得意。一方のClaude Codeは「大きなプログラムの理解」や「複雑な修正作業」で力を発揮します。
より実践的なテストでは、Claude Codeの優位性が目立ちます。実際のソフトウェア開発で発生するような複雑な問題を解決するテスト「SWE-bench」では、Claude Codeが72.7%の正解率を記録し、OpenAI Codexの69.1%を上回りました。
この3.6%の差は小さく見えますが、実際の開発では「一度で完璧に修正できる」か「何度か手直しが必要」かの違いとして現れます。特に大きなプロジェクトで威力を発揮するのがClaude Codeの特徴です。
興味深いのは、セキュリティ関連の作業における結果です。「プログラムの脆弱性を修正する」防御的な作業では、OpenAI Codexが90%の成功率でClaude Codeの87.5%を上回りました。
しかし「セキュリティの問題を見つける」攻撃的な視点では、Claude Codeが57.5%でOpenAI Codexの32.5%を大きく引き離しています。つまり、セキュリティを守りたいならCodex、問題を見つけたいならClaude Codeという使い分けができそうです。
OpenAI Codexの料金体系は分かりやすく、使った分だけ支払う従量課金制です。ChatGPT Plusの契約者(月額20ドル、約3,000円)なら追加料金なしで使えるのが大きなメリット。
API(プログラムから直接利用する方法)を使う場合は、100万文字あたり約225円(入力)、約900円(出力)程度。キャッシュ機能を使えばさらに75%安くなるため、実質的には100万文字あたり約56円まで下がります。
普通のプログラム修正なら1回あたり450~600円程度で済むことが多く、個人開発者や小さなチームにとって非常に経済的です。
Claude Codeは高性能な分、料金も少し高めに設定されています。基本的な従量課金では、最高性能の「Claude Opus 4」が100万文字あたり約2,250円(入力)、約2,800円(出力)。バランス型の「Claude Sonnet 4」でも100万文字あたり約450円(入力)、約560円(出力)となっています。
ただし、頻繁に使う場合は定額プランがお得です。「Max 5×」プラン(月額100ドル、約15,000円)や「Max 20×」プラン(月額200ドル、約30,000円)を選べば、1つのタスクあたり約125円程度で利用できる計算になります。
例えば、週に3~4回程度プログラムの修正や機能追加を依頼する場合を考えてみましょう。
OpenAI Codexなら月額3,000円のChatGPT Plusだけで十分カバーできます。Claude Codeの場合、従量課金だと月5,000~10,000円程度、定額プランなら15,000~30,000円程度が目安です。
実際に両方のツールを使ってみると、OpenAI Codexの方が初心者に優しい設計になっています。ChatGPTと同じような感覚で使えるため、「AIツールを使うのは初めて」という方でもすぐに慣れることができます。
質問の仕方が分からない時も、「/help」と入力すればヒントをもらえますし、エラーが出た時の説明も丁寧です。プログラミングを学び始めたばかりの方には特におすすめです。
一方のClaude Codeは、ある程度プログラミングに慣れた方により適しています。最初の設定では質問形式で丁寧にガイドしてくれますが、その後は高度な機能を自由自在に使いこなすことができます。
大きなプロジェクトで複数のファイルを同時に扱ったり、複雑なリファクタリング(プログラムの構造改善)を行ったりする場合、Claude Codeの理解力の高さが際立ちます。
チームでの開発では、OpenAI Codexの方が導入しやすいといえます。GitHub、VS Code、JetBrainsなど、多くの開発者が使っているツールとの連携が充実しているためです。
Claude Codeもチーム開発に対応していますが、どちらかといえば個人の生産性を高めることに特化している印象です。ただし、セキュリティを重視する企業にとっては、ローカル環境で動作するClaude Codeの方が安心という場合もあります。
プログラミングを学び始めたばかりの初心者や、コストを抑えたい個人開発者には断然OpenAI Codexがおすすめです。月額3,000円のChatGPT Plusだけで十分な機能が使えるのは大きな魅力。
また、チームでの開発や、GitHub Copilotなど他のツールと組み合わせて使いたい場合も、OpenAI Codexの方が導入しやすいでしょう。「まずはAIコーディングを体験してみたい」という方にも最適です。
一方、すでにある程度のプログラミング経験があり、「とにかく高性能なツールが欲しい」という方にはClaude Codeがおすすめ。特に大規模なプロジェクトに携わっている方や、複雑なバグ修正に時間を取られがちな方には、その威力を実感していただけるはずです。
また、セキュリティを重視する企業や、データの取り扱いに厳格なルールがある組織では、ローカル環境で動作するClaude Codeの方が適している場合があります。
実は、多くの開発者が「用途に応じて使い分ける」という方法を取っています。日常的な簡単な作業はコストの安いOpenAI Codex、複雑で重要な作業は高性能なClaude Code、といった具合です。
この使い分けにより、コストを抑えながらも必要な時には最高の性能を活用できるという、いいとこ取りの運用が可能になります。
2025年は間違いなく「AIコーディング元年」といえるでしょう。OpenAI CodexとClaude Codeという2つの優秀なツールの登場により、プログラマーの働き方は大きく変わろうとしています。
どちらを選ぶにせよ、重要なのは「AIは完璧ではない」ということを理解して、適切に活用することです。AIが書いたコードも必ずチェックし、テストを行い、セキュリティに問題がないか確認する習慣を身につけましょう。
初心者の方はまずOpenAI Codexから始めて、慣れてきたらClaude Codeも試してみる。経験者の方は両方を使い分けて、それぞれの長所を活かす。そんな柔軟なアプローチが、AI時代のプログラマーには求められているのかもしれません。
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