例年より1ヶ月早く流行しているインフルエンザ。その検査に革命をもたらす「AI検査」が注目を集めています。鼻に綿棒を差し込む従来の検査とは異なり、痛みがなく、10数秒で判定できる新技術の仕組みや導入状況、今後の展望を解説します。
2025年11月、インフルエンザが例年より1ヶ月以上も早く流行し、全国で感染者が急増しています。厚生労働省によると、11月9日までの1週間に報告された全国のインフルエンザ感染者数は、1医療機関あたり21.82人と前の週の約1.5倍となり、12週連続で増加しています。
こうした中、インフルエンザの検査方法に大きな変化が起きています。従来の「鼻に綿棒を差し込む痛い検査」に代わり、AIを使った痛みのない検査が全国約2000の医療機関で導入され、注目を集めています。
この記事では、インフルエンザAI検査の仕組みと特徴から、従来の検査との違いやメリット、実際の導入状況と活用事例、そしてインフルエンザ対策の最新動向まで、幅広く解説していきます。
2025年のインフルエンザは、例年より1ヶ月以上も早く流行が始まりました。主なタイプはA型H3で、去年あまり流行していなかったため、抗体を持っている人が少なく、かかりやすくなっているとされています。
東京歯科大学の寺嶋毅医師によると、「例年よりも1ヶ月以上も早く、これほど流行するというのは予想以上だった」とのこと。さらに、来年1月くらいまでは警報級の波があって注意が必要だと言われています。
流行が早まった理由の1つとして、大阪・関西万博などで、既にインフルエンザが流行している国からの観光客が増えたことも指摘されています。
今年のインフルエンザの特徴をまとめると、A型H3が主流となっており、去年あまり流行していなかったため抗体を持っている人が少なく、例年より1ヶ月以上早く流行が始まりました。さらに、来年1月まで警報級の波が続く見込みとなっており、長期的な対策が必要な状況です。
これまでのインフルエンザ検査は、鼻の奥に綿棒を差し込んで検体を採取する方法が一般的でした。しかし、この方法にはいくつかの課題がありました。
まず、検査時に痛みを伴うため、特に子どもが検査を嫌がり、泣いてしまうことも少なくありませんでした。また、発症後24時間以内の陽性率が約50%と低いため、症状が出ていても陰性と判定されることがあり、検査結果が出るまでに時間がかかるという問題もありました。さらに、早期に陰性と出ると、適切なタイミングで薬を開始できないという課題も指摘されていました。
福岡県春日市のにしじま耳鼻咽喉科・鼻手術クリニックの西嶋利光院長は、「通常の検査方法だと、24時間以内の陽性率が半分ほどなので、半分以上の方は症状が出ていてもインフルエンザと強く疑っていても陰性と出ることがあって、その場合だとなかなか薬が始められない」と説明しています。
インフルエンザAI検査は、専用の医療機器を使って喉の奥を撮影し、その画像と問診情報をAIが分析してインフルエンザかどうかを判定する新しい検査方法です。
具体的な流れとしては、まず専用機器を口の中に入れ、先端についたカメラで喉の奥を撮影します。次に、体温や症状(熱、痛み、咳など)などの診療情報を入力し、撮影した画像と問診情報を専用サーバーに送信してAIが総合的に判定します。そして、数秒から十数秒で結果が表示されるという、非常にスピーディーな検査方法となっています。
実際に検査を受ける際は、医療機関でAI検査機器を口の中に入れ、数秒で喉の奥を撮影します。その後、体温や症状などの問診情報を入力すると、AIが10数秒で判定結果を出してくれます。
西嶋院長によると、「喉の粘膜の色みだったり、リンパ組織がいっぱいあるので、腫れ具合の組み合わせなどをAIが判断して、あとは本人の症状ですね。問診が結構重要と言われていて熱が出ているとか痛みや咳があるかないか、そういったことを総合的にAIが喉の写真と合わせて判断して診断」するとのことです。
AI検査の最大の特徴は、痛みがなく、短時間で判定できることです。従来の検査は鼻に綿棒を差し込む方法でしたが、AI検査では喉の写真を撮影するだけで済みます。検査時間も数分かかっていたものが10数秒に短縮され、患者の負担が大幅に軽減されています。
さらに重要な違いとして、早期検査の精度が挙げられます。従来の検査では発症後24時間以内の陽性率が約50%と低かったのに対し、AI検査では発症早期から7-8割の診断率を実現しています。対象年齢は6歳以上と制限がありますが、費用は従来の検査と同様に約1000円(保険適用)で受けることができます。
特に注目すべきは、発症早期から7-8割の診断率があることです。これにより、症状が出たばかりの段階でも適切に診断でき、早めに薬を開始できるため、症状が軽く済む可能性が高くなります。
西嶋院長は、「AI検査だと、発症早期から7、8割の診断率があるので早い段階で薬が始められる。早めに薬を飲むとそれだけ症状がきつくなくて済む」と説明しています。
インフルエンザAI検査は、全国約2000の医療機関で既に導入されています。保険が適用されるため、従来のインフルエンザ検査とほぼ同じ費用(約1000円)で受けることができます。
福岡県春日市のにしじま耳鼻咽喉科・鼻手術クリニックでは、今シーズンからAI検査を導入。西嶋院長は、「昔みたいに鼻に綿棒を入れてぐりぐりする検査ではなくて、喉の写真を専用の機械で撮ってAIが判断してくれて、インフルエンザかどうかしっかり検査できる方法になります」と説明しています。
東京・大田区の「大川こども&内科クリニック」でもAI検査機器が導入されており、実際に使用されています。
医療現場では、AI検査の導入により様々な効果が期待されています。特に子どもが検査を嫌がることがなくなり、スムーズに検査できるようになったことで、患者の負担が大幅に軽減されています。また、発症早期から検査可能なため、適切なタイミングで治療を開始できるようになり、検査時間が短縮されたことで待ち時間の削減にもつながっています。さらに、早期治療により、症状が重くなる前に改善できる可能性が高くなっています。
実際に、大川こども&内科クリニックでは、午前中だけで診察した108人中35人(約32%)がインフルエンザと診断されており、流行の拡大が確認されています。
インフルエンザ対策において、予防接種は依然として重要です。効果が出るのは接種から約2週間後と言われていますが、寺嶋医師は「今からでも予防接種を」と呼び掛けています。
都内では感染者の8割弱が20歳未満で、学校などで子どもが感染するケースが多いとされています。特に、学級閉鎖や休校が相次いでおり、全国3584の保育所や幼稚園、小中学校・高校で休校や学級閉鎖となっています。
子どもの感染予防に関しては、スプレー型ワクチンも注目されています。これは、注射と違って痛みがなく、鼻の中に吹きかけるだけのワクチンです。対象は2~18歳で、大人には効果が弱いとされ、承認されていないという特徴があります。
スプレー型ワクチンは、2024年から使用されるようになり、特に注射を嫌がる子どもにとって有効な選択肢となっています。痛みを伴わない予防接種として、子どものインフルエンザ対策の新たな選択肢として期待されています。
インフルエンザAI検査は、AI技術の医療応用の一例です。画像診断技術の進歩により、従来は専門医が目視で判断していた診断を、AIが支援できるようになりました。
特に、問診情報との組み合わせによる精度向上は、AIの強みを活かしたアプローチと言えます。今後は、他の疾患への応用も期待されています。
AI検査の導入により、患者の体験が大きく改善されています。痛みのない検査による負担軽減は、特に子どもや高齢者にとって大きなメリットです。
また、早期診断による治療効果の向上は、患者のQOL(生活の質)向上にもつながります。症状が軽く済むことで、日常生活への影響も最小限に抑えられます。
この記事では、インフルエンザAI検査の仕組みと特徴、導入状況、今後の展望を解説しました。
AI検査は痛みがなく、10数秒で判定できる新技術として注目されています。発症早期から7-8割の診断率があり、早期治療につながる点が大きなメリットです。現在、全国約2000の医療機関で導入済みで、保険適用となっているため、従来の検査と同様の費用で受けることができます。インフルエンザ対策においては、予防接種と早期検査が重要であることを改めて認識する必要があります。
インフルエンザの流行は、来年1月くらいまで続く見込みです。体調不良を感じたら、すぐに医療機関で検査を受けることが重要です。AI検査を導入している医療機関では、痛みのない検査を選択できるため、特に子どもがいる家庭では検討の価値があります。
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