ChatGPTグループチャット試験提供、AIと20人で協働
OpenAIがChatGPTに試験導入したグループチャット機能を解説。最大20人とAIが同じルームで会話・共同作業でき、旅行計画から意思決定までをサポートする仕組みや注意点を整理する。
ChatGPTを使って友人や同僚とアイデアを出し合う──そんな使い方が当たり前になりそうです。OpenAIは11月、日本・ニュージーランド・韓国・台湾の4地域でChatGPTの「グループチャット」を試験提供すると発表しました。ChatGPT Free/Go/Plus/Proの各プランにログインしていれば、Webでもモバイルでも利用できます。ChatGPTを交えた会話ルームを作成するには、チャット画面右上の人物アイコンから新規グループを作り、共有リンクで1~20人を招待するだけ。既存の個人チャットに誰かを追加した場合は、その会話をコピーした新しいグループが生成され、元のプライベート履歴が露出しないよう配慮されています。初回利用時には名前やプロフィール写真を登録し、参加後はグループ名や通知設定、メンバーの追加・削除も管理画面から操作できます。
グループチャットには最大20人まで招待できます。参加者は名前やユーザー名、写真を含む簡単なプロフィールを設定して入室する仕組みです。チャットに使うモデルはGPT-5.1 Autoが状況に合わせて自動で切り替え、テキストだけでなく検索、画像生成、ファイルアップロード、音声入力なども同じルームから利用可能。CodeZineの記事によれば、共有リンク経由で既存グループへ途中参加することもできます。いわばSlackやTeamsのような画面にChatGPTが常駐し、誰かがメッセージを送れば即座にコンテキストを理解して補助してくれるイメージです。
今回の機能では、ChatGPTに新しい「ソーシャルな振る舞い」が教え込まれています。会話の流れを追いながら、話すべきタイミングと静観すべきタイミングを判断するというのがポイント。意見の要約や論点の整理はもちろん、必要であれば審判役として議論に決着をつける役回りまでこなします。ChatGPTに発言してほしい時はメンション機能で呼び出せばOK。絵文字リアクションにも対応し、プロフィール写真を参照した画像生成など、グループならではの表現も楽しめます。レートリミットも工夫されており、ChatGPTが応答した時だけ利用回数が消費されるため、ユーザー同士のメッセージ交換は回数に影響しません。
実際どんなシーンで使えるでしょうか。OpenAIが挙げている例のひとつが旅行計画です。行き先の比較、旅程づくり、持ち物リストまで、全員が同じ画面を見ながら作業できるのは便利。庭づくりや新居のインテリア選びなど、暮らしのアイデアを家族やルームメイトと共有する場としても役立ちそうです。ChatGPTに自分たちの好みを伝えれば、候補をまとめてくれる「AIコンシェルジュ」として動いてくれます。
ビジネスや学習面でも使い道が広がります。アウトライン作成や新しいテーマの調査、共有メモの整理など、ChatGPTが要点をまとめてくれることで会議の準備がぐっと楽になるはず。複数人の好みに合うレストラン探しなど、細かな意思決定もAIに中立役として入ってもらえばスムーズです。学生グループでディスカッションしながらリサーチを進める、といった使い方も想像できます。
グループチャットは通常の個人チャットとは分離されており、ChatGPTが記憶する「メモリー」機能は利用されません。会話内容から新しいメモリーが作成されることもないため、プライベートな質問が個人チャットに持ち越される心配はひとまず不要です。今後はメモリーのコントロール方法を検討中とのこと。レート制限はChatGPTの応答時だけ適用されるため、ユーザー同士の会話には影響しません。なお、この機能が利用できるのは先述の4地域に限定されたパイロット版である点も押さえておきましょう。
18歳未満が参加する場合、センシティブな内容は自動的に抑制される設計です。保護者はペアレンタルコントロールを使って、グループチャット機能自体をオフにすることもできます。安心して使うためには、誰が参加しているかを確認し、必要に応じて設定を見直すことが大切です。
これまでの生成AIは「個人の生産性を高めるツール」という文脈で語られることが多く、ChatGPTも個人秘書や家庭教師のように利用されてきました。グループチャットはその前提を覆し、AIを議論と意思決定の中心に据える試みです。アイデア出しから意思決定、アクションまでの一連のフローを同じ空間で完結できれば、AIはチームのファシリテーターへと役割を拡張します。
すでにMicrosoftはTeams上でCopilotのコラボ機能を提供しており、企業ユースでは強力な存在です。OpenAIはプラットフォームに依存しない形でグループチャットを公開することで、ビジネスだけでなくプライベートでも使える広さを武器にしています。グループ単位でChatGPTに定着すれば、他ツールへ移行するコストは高まり、OpenAIのエコシステムがさらに強固になるでしょう。
今回、日本がパイロット地域に含まれたのは、テクノロジーへの関心の高さやフィードバックの質が期待されているからかもしれません。早期に体験することで、プロダクトの方向性に影響を与える機会があります。
OpenAIはグループ単位でカスタム指示を設定できる機能や、メモリーの細かな制御など、より高度な運用に向けた改善を検討中だとしています。今回の試験導入で得られるフィードバック次第で、正式版ではさらに洗練されたコラボレーション体験が実現しそうです。
ChatGPTのグループチャットは、AIを「個人のアシスタント」から「みんなの議論を支えるファシリテーター」へと進化させる第一歩といえます。試験提供中の今だからこそ、旅行計画やチームブレストなど身近なテーマで試してみると面白そうです。OpenAIは早期ユーザーからのフィードバックを募っているので、気づいたことを伝えることで機能の改善に貢献できます。AIと人が同じテーブルで議論する未来を、一足先に体験してみませんか。
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