ソフトウェア会社はなくなるのか。新しいAIモデルが出た朝に考えた結論は、半分ぐらいはなくなる、だった。開発会社を経営する立場から、危うい会社と残る会社の条件、発注側が見直すべき点を整理した。開発会社を選ぶ担当者と、開発会社で働く人向け。
この記事の要点
朝、携帯でニュースを見ていたら、Sonnet 5.5 が出たという話が流れてきた。Opus 5.5 を超えたらしい、という内容だった。私はまだ触っていない。それでも正直、うわ、もう本当にやばいなと思った。
コーディングも、映像を作ることも、AIができて当たり前になっている。ここからまだ上がるのかと、正直頭を抱えた。
私はもともとオフショア開発の会社をやっていた。今はソフトウェア開発とAIの教育をやっている。だからこのニュースは他人事ではない。
ソフトウェア会社はなくなるのか。自分の会社の現状も含めて、正直に書いてみたい。暗い話から入るが、明るい話もある。
結論から書くと、半分ぐらいはなくなると思っている。
なくなる側に入ると私が見ているのは、次のような会社だ。
2つ目は意外に聞こえるかもしれない。でも、AIで作れるようになったのは誰にとっても同じだ。作れることだけを看板にすると、頼む理由がすぐに消えてしまう。
特殊な技術を持っている会社なら話は別だ。ただ、その特殊な技術ですら、AIでかなりのことができる状況になってきた。守りとして当てにできる範囲は、思っているより狭いと感じている。
一方で、残ると思う会社もある。
FDEという言葉を私は、お客さんの中に入り込み、ビジネスを分かった上でコミュニケーションが取れるエンジニア、という意味で使っている。
人がコーディングするのは、もう明らかに終わっていると思う。1年前なら、まだ人が書いたほうがいい場面があった。今はほとんど100%ないに近い。
そこを前提に考え直さないと、会社の形そのものが保てなくなる。
昔からやっている会社も、実は危ういと見ている。
最近いろいろな会社に営業に行っていて、よく聞く話がある。「今のベンダーがいまいちで」という話だ。そこから私たちに案件の依頼が来ることも、実際にある。
ということは、発注側の多くがシステム会社に満足していないのだと思う。保守契約で毎月のストック収入を得て、悠々自適にやってきた会社も、安泰ではなくなる。
新しいベンダーがAIを使いこなし、ビジネスモデルも汲み取ってくれて、話も通じる。そうなれば、乗り換えるのは自然な流れだ。これは想像ではなく、現場で起きている話である。
正直に言うと、私は保守契約が好きではない。何もしなくてもお金がもらえる仕組みに、どうしても違和感がある。
私は保守契約を、保険のようなものだと考えている。だから私たちは、こんな分け方をしている。
保守契約という言葉の定義そのものが、これから変わっていくと思う。保守で淡々と稼いでいる会社は、かなり厳しくなるはずだ。
SaaSの会社も、結構危ないと正直思っている。
昔のSaaSはこういうモデルだった。エンジニア集団が、1000万、5000万、1億とかけてシステムを作る。それを多くの会社に売っていく。
生産システムをはじめ、業種ごとにいろいろなシステムが生まれてきた。ところがAIが出てきて、会社ごとにフォーカスしたシステムを作れる世界線になった。そうなると、昔ながらのSaaSはほとんど要らなくなる。
基幹システムも例外ではないと、私個人は思っている。もちろん基幹システムを作るのは大変だ。それでも「SaaSに毎月払い続けるより、こっちで投資しよう」という話は実際に出てきている。
残る仕事もある。今SaaSで回している業務を、その会社専用に組み上げ直す仕事だ。
「業務フローに組み込まれているシステムを、リプレイスしませんか」。こういう提案は、これから本当によく聞くようになると思う。SaaSを売る会社は減り、SaaSのようなものを会社ごとに作る会社が出てくる。
明るい話もある。ITリテラシーがそこそこある人なら、システムを作れる時代になった。
AIの進化が止まる気配はない。Sonnet 5.5 の次に、Opus 6 や Sonnet 6 が出たとき、性能が下がっている未来は見えない。開発を遅らせようという声が上がっても、結局は新しいものが出てくる。
この先もAIは進化し続ける。その前提に立つと、生き残るのは次のような人やチームだ。
言われたものだけを作る開発ベンダーは、ほぼなくなると思う。
私は長く警察官をやっていたので、コミュニケーションには自信がある。それにビジネスが好きだ。「こっちがいいんじゃないですか」と提案していくと、そこから仕事が舞い込んでくる。
最近の営業で気になることがある。Mockを作ってくる会社は増えたし、私たちも作って見せている。問題は、そのMockをお客さんに渡してしまう開発会社がよくいることだ。
これは絶対にやめたほうがいい。AIで簡単に作れる今、Mockや提案書を完璧に仕上げて渡すと、そのままパクれてしまう。
提案書とMockがあれば、お客さん側でAIに入れて作ることが、たぶんできる。ITリテラシーが高い相手ほど、それができてしまう。だから私はMockを渡さない。
Mockやアイデアや提案にこそ、価値が出る時代になったと思っている。そこを簡単に手放さないでほしい。
AIに聞けばアイデアは出る、と思う人もいるだろう。ただ、AIのアイデアは完璧ではない。私自身、自分のアイデアのほうが優れていると感じる場面がある。
それに、AIで作ったアイデアは、分かる人には分かってしまう。ミーティングの中で直感的に「こういうのはどうですか」と出せる力のほうが強い。
「確かにそうだわ」と返ってくるまでのレスポンスのスピード。これがとても大事になると、本当に思っている。
ここまでは作る側の話だった。発注する会社にとっても、判断の仕方が変わる。
今は1人でも、営業も開発もこなして、普通に食べていける程度の収入は得られる時代だと思う。
発注側が会社の規模を見るのは、信用を見ているからだと思う。途中で飛ばないか、という観点だ。だから規模感はたしかに大事だ。
ただ、1人でもめちゃくちゃ強くて信用できる人なら、そのほうが成果物は圧倒的に早いかもしれない。既存ベンダーを続けるか、新しいベンダーを選ぶか。その判断は、これまでより難しくなる。
いま結んでいる契約も、見直す余地が出てくる。
ITリテラシーがそこそこ高く、コミュニケーションが取れて、ビジネスも理解している人。こういう人材は、なかなか確保できない。
社内にいなければ、外に任せることになる。その任せ先を、ここまでの観点で選ぶことになる。
AIでほぼほぼできてしまう時代でも、最後に効くのは人だと思っている。
ここで明るい話をしたい。AIが出てきて、私たちの仕事が減ったかというと、むしろめちゃくちゃ増えている。オフショア開発をやっていた頃と比べても、段違いだ。
新規の商談もどんどん増え、毎月新しい案件が入ってきている。いろんな会社に営業に行き、実際に会いに行っているからだと思う。
1人でできる幅は、本当に広がった。1人で会社を作るのも、副業をやるのも、やりやすい世界線になっている。ただ、私はそこに虚しさも出てくるのではないかと感じている。
だからこそ、これからは次のことが大事になると思う。
お金を稼ぐことは、生きていく上で絶対に省けない。それでも会社の代表としては、誰とどんな何かを達成したいかのほうが重要になってくると思っている。
AIは間に入ってくる。それでも最終的には、人間と人間の仕事になる。「この人と仕事してよかった」と思えるかどうか。その人間力がある会社かどうかが、生き残れるかを左右するはずだ。
お客さんのため、君のため、と思えないと正直もう生きていけない。便利なサービスは世の中にいくらでもあふれている。自分の利益だけを追う会社が、IT業界で革新的な何かを作るのは難しいと思う。
警察官を続けていたほうが無難に安泰だったんじゃないか、と思うことも正直ある。それくらいAIは進化している。ただ、めちゃくちゃ面白い時代でもある。アイデアがある人には、チャンスが増えている。
最近は、お金とは何だろうとも考える。人間がやらなくてもここまでできてしまうなら、何のためにお金を払うのか。新しいモデルの機能に驚くより、自分たちの仕事がどう変わるかを考えるほうが大事だと思っている。
それでも、半数ぐらいのソフトウェア会社はほとんど仕事がなくなる。そのくらいの危機感は持っておいたほうがいい。
私たちは、ここに書いた「残る側」の力を社内で育てるための研修をやっている。
社内にITリテラシーとビジネスの両方が分かる人がいない。今のベンダーや保守契約、SaaSの契約をこのままでいいのか迷っている。そんなときは、まず状況を聞かせてほしい。
私たちはシステムも作っているので、リプレイスの相談も、社内で作れるようにしたいという相談も受けている。まだ受けられる余力もある。無料相談はこちらから気軽に連絡してほしい。
この内容は動画でも話しています: https://youtu.be/Y5HBnJRENzA
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