AI時代に発信が重要な理由を、1年ほど試行錯誤してきた本音で書いた。頭の中の情報は貯めるだけでは活きず、外に出してこそ自分のAIエージェントを育てる資産になる。会社のデータ化にも通じる話を、経営者や担当者向けに整理する。
三森一輝です。AI駆動開発やAIについての発信を続けて、気づけば1年ほどになりました。正直、うまく発信できている時と、まったく手につかない時の波があります。今回はその発信そのものについて、本音を書いておきます。
この記事の要点
最初の発信は、正直恥ずかしかった。再生された回数は50回ほど、少ない時は10回ほどだった。
それでも私は続けた。理由は単純で、誰も見ていないと思えば気が楽になるからだ。恥ずかしさは、続けているうちに薄れていく。
1年ほど発信を続けてきて、調子がいい時期と、まったく手が動かない時期を繰り返している。それでも積み上げてきた発信の量だけは、確実に残っている。
続けてみて分かったのは、再生数よりも、続けていること自体に意味があるという感覚だった。顔を出すことに抵抗がある人も多いと思うが、そこは無理をしなくていい。
実際、外で発信を続けている人には、仕事の話が舞い込みやすい印象がある。認知や信頼が、先に人を呼んでいるのだと思う。
たとえば、半年ほど前にある経営者から突然連絡をもらったことがある。以前に発信した内容を読んで、似た課題を抱えているので相談したいという内容だった。会ったこともない相手からいきなり声がかかったのは、正直驚いた。発信を続けていなければ、この接点そのものが生まれなかったはずだ。
経験や考えを頭の中に入れたままにしておくと、正直なところ何も生かせない。これは私が発信を続けてわかったことだ。
考えていることを言葉にして外に出して初めて、後から使える形になる。外に出した情報だけが、後で自分の資産として使える。
発信は、その頭の中の情報を外に出す一番手軽な方法だと思う。特別な形式や技術は要らない。
これは会社の中でも同じだと思う。良い改善のアイデアが、特定の人の頭の中だけにとどまっている状態はもったいない。
誰かの頭の中にしかないノウハウは、その人がいなくなった瞬間に消えてしまう。外に出しておけば、その心配がなくなる。
以前一緒に仕事をしていた人が、独自のやり方を頭の中だけに持っていて、周りの誰もそれを引き継げなかった場面を見たことがある。本人がチームを離れた瞬間、そのやり方はきれいに消えてしまった。途中で言葉にして残していれば、誰かが引き継げたはずだと今でも思う。
発信を続ける一番の理由は、将来の自分のAIエージェントのためだ。
AIエージェントを作るとき、自分がどういう人物で、何を考え、どう動くのかという材料がなければ、エージェントは正しく動かない。人物像の材料が無いエージェントは、結局ただの空箱になる。
同じような取り組みを、ABEXの松下社長がやっていると聞いた。自分の知識をAIに読み込ませてノートを作り、一時期話題になったらしい。
これは私自身にも言えることで、いずれ自分のエージェントを組み上げるときに、この発信の蓄積がそのまま材料になるはずだと考えている。
発信は音声でも文章でも構わない。形式より、自分の情報を外に出し続けることそのものに意味がある。
発信ができなくても、それ自体は問題ではないと思う。それよりも、発信した内容をデータとして保持しておく仕組みを作ることのほうが重要だ。
この発信は、出したら終わりにせず、記事や音声など別の形に姿を変えていく仕組みにしている。同じ材料が、形を変えて増えていく感覚がある。
私自身、過去の発信を読み返すと、当時何を考えていたかがはっきり分かる。記憶だけでは薄れてしまう部分が、言葉として残っているからだ。この積み重ねが、将来自分のエージェントに人物像を渡すときの土台になると考えている。
これは個人の発信に限った話ではなく、会社にとっても同じ構造だ。
紙ベースの資料しかない会社は、その情報をそのままAIに使わせることができない。まずデジタル化してデータとして貯める、という順番が必要になる。
AIを使いたいという相談を受けるとき、最初に取り組むのはたいていデータをデジタルで貯める仕組みづくりだ。派手な導入より先に、この地味な整備がいる。
AIを使いたいと考える企業ほど、実はデータが紙のまま止まっていることが多い。デジタル化が後回しになっている構造は、業種を問わず共通していると感じる。
ネット上に情報がなければ、AIにも人にも見つけてもらえない。よくLLMOを対策したいという相談を受けるが、情報そのものが無ければ対策のしようがない。
会社の情報も同じで、ネット上に出ていなければ、検索にもAIにも拾われない構造は変わらないと思う。
以前相談を受けた会社では、重要な取引先とのやり取りの経緯が、担当者の記憶と紙のメモにしか残っていなかった。担当者が変わるたびに、同じ経緯を口頭で説明し直す作業が発生していて、そこに多くの時間が溶けていた。データとして残しておけば、その説明の手間自体がなくなるはずだと感じた。
AIがさらに進化すると、誰に何を頼むかという判断そのものが、差別化しにくくなっていく。
突き抜けたアウトプットを他人より圧倒的に出せる人以外は、成果物の見た目だけではほとんど差がつかなくなっていくと感じている。
そのときに残るのは、俗人的な信頼だ。この人だから頼みたい、という関係は、AIには代替できない。
仕事を発注する側からすれば、実績や人柄が見えている相手のほうが、頼みやすいのは当然のことだと思う。みんなが同じようなアウトプットを出せる時代になるほど、この差は縮まるどころか広がっていくはずだ。
実際に仕事を依頼してくれた人の中には、発信を通じて先に人柄や考え方を知っていたと教えてくれる人が多い。初めて会う前からある程度の信頼が生まれている状態は、発注する側にとっても安心材料になっているのだと思う。
発信を続けて自分の考えや取り組みを見せておくことは、その信頼を積み上げる一番手軽な方法だと私は思う。特別な技術がなくても、日々の考えを見せ続けることならできる。
編集の手間は、もう発信をやらない理由にならない。
今の私の発信は、編集も字幕付けもAIによって自動で行われていて、編集費はかかっていない。字幕の精度が今ひとつな時はあるが、それで困ったことはない。
編集にお金や時間がかかった時代なら、発信をためらう理由にもなっただろう。しかし今はその前提そのものが崩れている。
それでも発信を始められない人が多いのは、編集が大変だからではなく、誰かに見られる前提で身構えてしまうからだと思う。
発信は文章でもポッドキャストのような音声でも構わない。無理に顔を出す必要はないと私は考えている。
このくらい割り切ってしまえば、始めるハードルはかなり下がるはずだ。
発信して終わりではなく、それを会社の実務に落とし込むところまで一緒に考えるのが、私たちAI駆動研究所の仕事だ。
紙の資料しかない会社のデータ化から伴走したいなら、AI組織OS研修で業務の情報を整理し、AIが使える形に育てる進め方を扱っている。
発信の自動化を仕組みから知りたいなら、Claude研修でAIに作業を任せる設計の考え方を扱っている。研修は座学で終わらせず、実際に手を動かしながら仕組みを作るところまで伴走する。
個人として自分の情報を資産化していきたい人には、AI駆動開発育成所という選択肢もある。
どこから手をつければいいか迷っている場合は、無料相談で今の状況を聞かせてほしい。
ローカルAIをいつ社内に持つべきかを考えた。AIによる人類滅亡説やクラウド漏洩の話から、Mac Studio512GBの争奪戦、オフショア開発が終わりつつある現状まで、経営者として今判断していることをまとめた。社内にAI基盤を持ちたい会社の人向け。