AI時代の営業は、会って話すしかない。システム開発会社を5期やってきた私が、オンライン中心のコスパ重視営業をやめて新潟まで足を運んだ理由を書いた。AIで差別化できない今、実績より信用で選ばれる理由と、発注側・受注側が見直すべき点を整理する。開発会社や営業の担当者向け。
この記事の要点
新潟駅の前を歩きながら、この文章のことを考えていた。新潟に来たのは初めてだ。営業で、お客さんに会うために来た。
新幹線まで少し時間がある。せっかくなので、街を歩きながら考えていたことを書いておきたい。
テーマは、コスパの悪いことをしよう、という話だ。
結論から言うと、今の私はわざわざ会いに行く営業を選んでいる。
私はシステム開発会社を経営していて、もう5期目になる。昔の私は、完全にコスパ重視の人間だった。打ち合わせはオンラインで済ませる。それが合理的だと思っていた。
今は違う。コスパ重視の営業は、逆にコスパが悪い。新潟まで足を運んだのは、そう確信するようになったからだ。
このままコスパ重視を続けていたら、ソフトウェアやシステム開発の会社はほとんど残らないのではないか。そこまで感じている。
振り返ると、2020年ごろにコロナが流行った。オンライン会議が一気に当たり前になった。
当時の私が直接会っていた相手は、ごく限られていた。取引先、それもパートナーの会社か、交流会で知り合った人くらいだ。
オンラインで何度も話していた人と、たまたま対面で会う。すると「本当にリアルに存在しているんですね」と言い合う。そのくらいの距離感だった。
誰もがAIを使える今、AIそのものは差別化にならない。
コロナが落ち着いて5〜6年ほど経ち、AIが登場した。2024年、2025年あたりから、AIはとんでもない勢いで成長している。Geminiもまた新しいものを出した。
それに伴って、AIを使える人がめちゃくちゃ増えた。
2年前くらいまでは、プロンプトの書き方を武器にする人たちがいた。「俺はこんなプロンプトが書けるからすごいんだ」という人たちだ。今はそういう人も見かけなくなった。
何が起きたかというと、誰でもAIを使いやすくなった。
システム開発会社でなくても、システムが作れる世界線になってきている。誰でも、と言うと言い過ぎかもしれない。それでも、少しリテラシーの高い人なら、システムを作って納品するところまでできてしまう。
AIに触れている人なら、この変化はもう肌で感じていると思う。
私たちは、正直かなり最新を追っている。Mac miniを何台も使って、社内の自動化も進めている。
ただ、それも他の人がやろうと思えばできることだ。自動化の仕組みを作るのは結構大変で、システムを1つ作るようにサッとできるものではない。それでも、頑張ればできるところまで来てしまっている。
だから新潟のお客さんにも、正直に伝えた。「AIでこんなことができます、うちはここがすごいんです」という差別化は、もうないですよ、と。
最後に残る決め手は、信用だと思っている。
ソフトウェア会社としてどう残るか。考えた結論は、会って話すしかない、だった。お客さんが「こいついいやつだから、仕事を任せよう」と思ってくれるかどうか。そこに尽きる。
もちろん実績も重要だ。「こういうものを入れました」という話は、判断の材料になる。
たとえば、住宅業界の業務効率化を前にやったことがある会社があるとする。実績がたくさんあるなら、そこに任せるのも1つの選び方だ。
ただ、実績がなくてもAIを上手く使えば、次のものを出せるようになった。
だから、実績が全てでもなくなった。これが今の現状だ。最後は「この人に任せたい」という思いの部分しか残らない。
前に「AIで作れるだけでは仕事は来ない」で、差がつくのは成果と見える数字だと書いた。その考えは変わっていない。作れるだけの人の中では、実績が差になる。
今回はその例外の話だ。実績を持っている会社同士でも、仕事が取れない場面が出てきた。そこで最後に効くのが、信用と人柄なのだと思う。
今、昔のやり方のままの営業をしていたら、仕事はなくなる。これは断言する。
リアルでコミュニケーションが取れて、ちゃんと話せる人。そういう人しか、もう難しいと感じている。
オンラインより対面のほうが、お客さんの悩みを聞ける。実際に会うと、画面越しでは出てこない話がいろいろ出てくる。だから実際に新潟まで行って、いろいろな話をしてきた。
会社で開発を頼む立場の人にも、伝えたいことがある。
誰に仕事をお願いするか、を選ぶ時代になった。AIの技術そのものは、どの会社もほとんど同じものを使っている。
だから、見るべきところは変わってくる。
SaaSの営業でよく見るのが、固定されたテンプレートの営業パターンだ。ああいうやり方は、個人的には結構厳しくなると思っている。
SaaSのシステムですら難しい。受託開発、特にフルスクラッチでお客さんのものを新しく作る仕事は、単価も高いので、さらに難しいと感じている。
これからは、技術より人と人のコミュニケーションが効く。
昔のエンジニアには、どちらかというと寡黙で、職人のような風潮があった。そういう人たちは、正直この先生き残るのが難しいと思っている。
技術の面では、AIのほうが知能もある。言うことも聞いてくれるし、楽だ。人間の経験は、AIに比べたら正直大したことがない。
大事になるのは、お客さんの要望を聞いて、ヒアリングすることだ。どちらかというと、人間同士のやりとりの方である。
特殊なことをしているかと聞かれたら、ぶっちゃけそうではない。お客さんのためを思って提案する。受託開発においては、それしか勝ち残る道はないと思っている。
自社プロダクトを持っていたり、もともととんでもない実績があったりするなら話は別だ。でも多くの会社はそうではない。実績がある人でも取れない世界線になっている。
発信で目立っている人に、案件があふれているかというと、別にそうでもないらしい。最終的には、地道にコツコツやっている人が勝つ。私はそう思っている。
結局、仕事は人と人のマッチングに近い。
こういうことの方が重要になってくる。ここを重要視できない人は、逆にきつくなるのかもしれない。
「この人は私たちのために頑張ってくれるから、一緒にやりたい」。そう思ってもらえないと、この業界ではこの先かなり難しい。
AIを使うのは当たり前だ。その先で何を差にするかを考えたい。
私もAIを使っている。他の会社も、ClaudeやChatGPTを使えば同じことができる。頭のいいAIをパートナーにして、提案書を壁打ちしながら作っている。みんなそうだ。
だから考えるべきは、それでも自分たちにお願いしてもらえる理由は何か、だ。
教育の分野でも同じだと思う。「うちで学ぶと、よそとはまったく違うことが分かります」という差は、まずない。間違いなくない。
最後に効くのは、マインドや気持ち、その人に寄り添う人間性だ。新潟に来て、それを身に染みて感じた。
AIの細かい話より、たぶんこれがAI時代に一番大事なことだと思う。
だから私は、お客さんのために馬車馬のように働くしかない、と思っている。昔に戻っていくしかない。昭和の営業ではないが、そういうやり方が非常に重要になってきている。
AIがどれだけ自由になっても、どれだけ自動化されても、仕事を頼むときは人と人が向き合う。その関係性は絶対になくならない。
自動化エージェント同士が勝手に話して、仕事を任せ合う世界は、まだ来ないだろう。法人と法人の取引なら、なおさら来ないと思う。
単価が高くなるほど、「その人に任せたい」という思いはなくならない。私はこれを大事にしてやっていく。今回の新潟で、改めてそう思った。
AIは前提にしたうえで、人が価値を出すところを鍛える。研修ではそこを一緒にやっている。
AI駆動研究所では、AIやシステムのことを無料で学べるeラーニングもやっている。まずはそこから触れてもらうのもいい。
AIは使っているのに、お客さんに選ばれる理由が見えない。そんなときは、今の状況を聞かせてほしい。無料相談はこちらから気軽に連絡してほしい。
この内容は動画でも話しています: https://youtu.be/86SRATwezBo
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