AIでシステムを作れる人は増えましたが、それだけでは仕事は来ません。差がつくのは成果と、そこで得た 知恵です。飽和した市場で何を実績にし、どこを狙うべきかを、受託と自社事業を回す当社の視点で整理します。
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AIコーディング実況 / 三森一輝(@mimo_claudecode)
結論から書く。生き残るのは、成果を出した人だ。成果とは、見える数字のことを指す。
なぜ数字なのか。AIのアウトプットそのものでは、もう差がつかないからである。同じようなモデルを使い、同じような指示を出せば、出来上がるものは似てくる。当社が飛び抜けたものを出しているかと言われれば、正直そんなことはない。デザインで差をつけるのも難しくなった。
「AIでこれが作れます」は、差別化の材料として弱くなっている。作れる前提で話が進む。
では何が残るか。作ったもので何を起こしたか、という部分だ。
このシステムでどう売上を立てたのか。どこでつまずき、どう直したのか。ここで蓄積される知恵は、同じモデルを使っても人によって全く違う。発注する側の立場になれば分かる。知恵を持っている相手と、持っていない相手なら、前者に頼みたい。
技術の話ではなく、成果の話をできるかどうかで判断されている。
AIで何かを作れる人は増えた。一方で、作ったもので100万円を稼いだ人、継続的に数字を出した人はどれだけいるだろうか。ほとんどいない。
ここが今、もっとも空いている場所である。作れることは飽和し、成果を出すことは飽和していない。
当社の場合、AIで作ったシステムだけで弁当事業を立ち上げ、定期購入の契約を積み上げて、毎月売上が立つところまで持っていった。金額としては誇れるほどの規模ではない。それでも、数字が存在することの意味は大きい。実績として説明できるものは、実際に数字を発生させたものだけだ。
市場の話をする。供給が増えて需要が減るという逆風が、同時に起きている。
以前は、花屋でも工務店でも、ホームページが必要なら制作会社に頼むしかなかった。自社で作る手段がなかったからだ。今はある。簡易的なサイトなら、AIを使って自分たちで形にできてしまう。この層の発注は、減ったのではなく消えた。
依頼として残るのは、より本質的な業務に踏み込む開発である。基幹業務、事業そのものに関わる仕組み、外部に出せないデータを扱う領域。ここは今も需要がある。
ただし競合は増える。AIが出てきたことで、大人数を採用しなくても開発会社は成立するようになった。エンジニア出身者が1人で独立するケースは、これからも増える。仕事が減っている市場に、作れる人だけが増えていく。
この構造では、システムの単価は下がる。昔のように、多少うまくいかなくても費用が支払われるような時期とは違う。結果を出さなければ報酬が上がらない構造へ移っている。
厳しい話に聞こえるが、どの業界でも普通のことでもある。デジタル化そのものは進み続けるので、仕事が消滅するわけではない。結果を出せる人のところに集まるようになる、という変化だ。
誰でもできる領域で戦わないことが、現時点でもっとも有効な差別化になる。
具体的に狙い目なのは、ローカルAIとフィジカルAIだ。理由は単純で、機材の費用が参入障壁として機能しているからである。大容量メモリのマシン、ロボット。個人が気軽に手を出せる金額ではなく、だからこそ挑戦している事業者が少ない。
ローカルAIを実際に組んで、オープンソースのモデルをいくつか検証しておく。どのモデルがどの用途に向くのかを自分の手で確かめておく。
それができると、顧客に対して「この処理はAPIの利用料がかからない構成で組めます」という提案が可能になる。クラウド前提の見積もりしか出せない会社との差は、ここで出る。組み込んだ実績が1件あるだけで、相談が入ってくる確率は変わる。
ローカルAIに必要な機材の考え方は、関連記事「ローカルAIに1000万円は不要|Mac mini 1台で始める自動化」で詳しく書いている。
実績がないうちは営業が通らない。当社も4年前、システム開発を始めたばかりの頃はまったく相手にされなかった。
ここで待っていても何も変わらないので、最初の実績は自分で作るしかない。自分の業務が楽になるもの、自分が欲しいサービス、得意なジャンルで勝てそうなもの。対象は何でもいい。自分のために作ったものを起点に営業をかけるのが、遠回りに見えて一番早い。
作るときに1つだけ条件がある。数字が取れる形にしておくことだ。
アクセス解析を入れて、どれだけ人を集めたか分かるようにする。売るものなら、いくら売れたかを記録する。継続して使われるサービスなら、継続率を出す。数字にならない実績は、営業の場で使えない。
何もないところから立ち上げる作業は、システムを作る作業より難しい。多くの人が苦手とする領域でもある。裏を返せば、そこを一度でも通った経験は、そのまま希少性になる。
営業方法を聞かれることが多いが、積み重ね以外の答えがない。
当社は前職を辞めて独立した最初の会社でシステムを作り、うまくいかなかった。当時は作ること自体に時間がかかり、検証まで手が回らなかった。今はAIのおかげで改善の回転が速くなり、失敗率そのものは下がっている。そのぶん、作れる人が増えて任せてもらいにくくなったという面もある。
いきなり案件が舞い込むことはない。動画での発信も、メディアでの活動も、何年も続けた結果として今がある。
現実的な進め方は決まっている。目の前の1社に全力を注ぎ、採算度外視でも成果を出す。成果が出れば、次の依頼と単価の交渉ができる。焦る気持ちは分かるが、順番を飛ばす方法は存在しない。
AIで差別化ができなくなるほど、判断基準は人に戻る。この人に任せたい、この人と仕事がしたい。最終的にはそこで決まる。
同時に、担当者が社内の決裁を通すには材料が要る。その材料が実績だ。人柄と実績、この2つが最後に残る。実績を作っておいて損をすることは、1つもない。
要点を整理する。
作れることは前提条件であり、差別化の材料ではなくなった
差がつくのは成果という見える数字と、そこで得た知恵
簡易な開発案件は消え、競合は増え、単価は下がっていく
狙うべきは参入障壁の高い領域。ローカルAIやフィジカルAIは今なら空いている
実績ゼロなら、自分のために作って数字を出し、そこから営業する
AIで何ができるかという話は、もう十分に出回っている。次に問われるのは、それで何を起こしたかだ。
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