ChatGPT以前からAIを研究していたという肩書きの研修が増えています。しかし研究と活用は別物です。車を作れる人が運転を教えられるとは限りません。経歴ではなく実績で見極める基準を具体的に解説します。
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AIコーディング実況 / 三森一輝(@mimo_claudecode)
市場が過熱している。AI関連の研修を手がける事業者は、この1、2年で一気に増えた。
商品そのものを比較しづらいとき、経歴が信頼の代わりとして機能する。何年前からやっているか、どんな研究に関わっていたか。そこを掲げるのは、売り手として自然な動きではある。
一方、発注する側は困る。研修の中身を事前に評価する方法がないからだ。
結果として、経歴がありそうな相手を選ぶことになる。悪い選択ではないが、それが自社の業務改善につながるかは別問題である。ここに落とし穴がある。
一番分かりやすい例えを使う。
車を設計できる人が、運転がうまいとは限らない。エンジンを作れる技術者が、教習所の指導員として優秀とも限らない。どちらも高い専門性を持っているが、必要とされる能力が違う。
食品科学の研究者が、行列のできる定食屋を開けるとも限らない。成分を理解していることと、おいしい料理を出せることは別である。
AIも同じ構造になっている。裏側のアルゴリズムを組める人が、業務での使い方を教えられるとは限らない。
モデルの仕組みを解説できる人がいるとする。技術的な背景を丁寧に語れる。それ自体は価値がある。
では、その説明を聞いて、自社の見積もり業務が速くなるだろうか。承認の手間が減るだろうか。おそらく何も変わらない。この2つは直接つながっていない。
現場が求めているのは、「うちのこの作業に、どう当てはめるか」という具体である。
理論を積み上げる能力と、現場に落とし込む能力。どちらも価値があるが、鍛えられている場所が違う。
研修で必要なのは後者だ。ビジネスの流れを理解し、どこにAIを噛ませれば効くかを判断し、実際に動かしてみせる。ここが噛み合っていないと、話は面白いのに業務は変わらない、という結果になる。
現在のツールが広く使われるようになってから、まだ3年ほどしか経っていない。しかもこの3年でモデルの挙動は大きく変わった。初期に触っていた経験が、そのまま今に通用するわけではない。
つまり、活用という土俵では全員がまだ数年生である。20年の研究歴があっても、今のツールを毎日触っていなければ、現在の挙動は説明できない。
裏返すと、これから本気で触る人にも十分に勝機がある。
当社も長年AIを研究してきたわけではない。今のツールが登場してから毎日触り続け、自社の業務と顧客の開発に組み込んできた。積み上げてきたのは研究歴ではなく、使用量と成果である。
発注する側にとっても、選択肢が経歴のある人だけではないということになる。
経歴の代わりに使える、具体的な確認事項を挙げる。どれも面談の場で聞けるものばかりだ。
最初にこれを聞く。この分野は数か月単位で状況が変わる。日常的に触っていない人は、最新の挙動を説明できない。
答えが一般論に寄る場合は、実際の使用量が少ない可能性がある。具体的なツール名と、どの作業に使っているかまで出てくるかどうかで判断できる。
自社で何を作り、何を自動化しているか。顧客の業務でどんな成果が出たか。
ここは数字で語れるはずの部分である。作業時間がどれだけ減ったのか、何本の処理が自動で回っているのか。抽象的な話しか返ってこない場合は、慎重になったほうがいい。
最後がもっともはっきり差の出る質問になる。こちらの業務を伝えたうえで、どこから手をつけるべきかを聞いてみてほしい。
実際に自分でやっている人は、具体的な工程を挙げて答える。やっていない人は、一般的なAI活用の話に戻っていく。判断材料として、これ以上に分かりやすいものはない。
断言の仕方には、実務経験の有無が出る。
AIエージェントで業務を完全に自動化できる、という説明を聞いたら、一度立ち止まったほうがいい。当社も日常的にエージェントを動かしているが、すべてを自動化できてはいない。人が判断すべき場所は必ず残る。
限界を正直に話す相手のほうが、実際に運用している可能性が高い。できることとできないことの線引きを持っているかどうかを見るといい。
新しいモデルが出ました、こんな機能が追加されました。こうした情報は、今やどこでも手に入る。
研修で価値が出るのは、その次である。自社のどの業務に効くのか、どう組み込むのか。最新を追うことは手段であって、目的ではない。紹介で終わる内容なら、無料の発信で足りる。
要点を整理する。
「以前からAIを研究していた」は立派な経歴だが、活用能力の保証ではない
車を作れる人が運転を教えられるとは限らない。求められる能力が違う
活用の土俵では全員がまだ数年生。経歴より、今の使用量が効く
発注前に、毎日触っているツール、成果物、自社への当て方の3つを確認する
「完全に自動化できる」という断言は、実務からは出てきにくい
肩書きではなく、直近のアウトプットを見る。これだけで選定の精度はかなり上がる。当社に依頼を検討いただく場合も、同じ基準で見てもらって構わない。
AI駆動研究所では、AI駆動開発の受託と社内向けのAI研修、eラーニングを提供している。自社の業務のどこから着手すべきか判断がつかない場合は、無料相談で状況を聞かせてほしい。実際に動いている事例をもとに話をする。
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