AI時代に勉強は必要か。AIに聞けば何でも答えが返る今こそ、聞く側の人間の知識が問われると思う。新聞を取り始めた私が、ネットの情報の偏り、広く浅くの知識、伝える力、子供のAI教室で見た長文を読めない現実から考えた。AI導入を進める経営者・会社員と子を持つ親向け。
この記事の要点
祝日の月曜の朝、新聞を片手に散歩をしていた。子供に5時半ごろ起こされて、7時半ごろには外を歩いていた。正直、頭はあまり回っていなかった。
それでも考えていたのは、AI時代に人間の知識はどれだけ大事か、ということだ。きっかけは、最近取り始めた新聞だった。
新聞は、ネットでは見ない情報を運んでくれる。
警察にいた頃、上司によく「新聞を取れ」と言われていた。でも取らなかった。ネットニュースでいいじゃん、と思っていたからだ。
その私が、最近になって新聞を取り始めた。理由は2つある。
1つ目は単純なきっかけだ。メディアとの付き合い方は、前に「AI時代の広報はオールドメディアに載ること」に書いた。大事なのは2つ目の方だ。
たとえば私がiPhoneのことを調べると、iPhoneのニュースが多く出てくる。他のことを調べれば、今度はそれに寄った情報がたくさん並ぶ。
プラットフォームとしては、長く滞在してほしい。だから、おすすめ欄を本人の好みに寄せていく。これは普通の流れで、仕方のないことだと思う。YouTubeのおすすめも同じだ。
ただ、その結果、自分に偏った情報ばかりを見るパターンはめちゃくちゃ多い。
新聞なら、定期的にニュースが届く。タイムリーな情報も追える。そして何より、自分では調べない情報が勝手に入ってくる。ネットニュースなら絶対に見ないであろう記事だ。
取ってみて、新聞ってめっちゃいいなと思った。
もちろん、見出しを見て気になったものから読むので、若干は偏る。それでも、自分が依存しているものに沿った選別は起きにくい。広く浅く見られるのが、新聞のいいところだ。
宣伝をしたいわけではない。私は埼玉新聞を取っているが、日経新聞でも読売でも朝日でもいいと思う。伝えたいのは、AI時代は広く浅く知識を持つことが重要だ、ということだ。
AIは賢い。足りないのは、聞く側の人間だ。
AIに話しかければ、ほとんどの質問に答えてくれる。これはもう、多くの人が感じているはずだ。でも今は、AIに聞く人間の能力の方が低い、という状態になっていると思う。
私自身もそうだ。高学歴でも何でもない。だからこそ、知識を少しずつでも入れていかないと、AIをうまく使いこなせなくなると感じている。
よくあるのが、システム開発の話だ。
AIでシステムが作れるようになった。システム開発会社でなくても、システムを作れる状況になったと思う。ただ、いくらAIで作れても、人間側に知識がないと問題が起きる。
だから、人間の知識量と命令の仕方が重要になる。
AIはどんどん賢くなっている。人間はあまりいらない、という声もあると思う。
でも、私が違う仕事に手を出すときを考えてみる。少しでも知識がないと、AIに頼りきりになる。頼りきりになると、出てきた回答を100%正しいと信じ込むしかない。
AIに頼ること自体は当然だ。ただ、頼りきりではいけない。人間の知識も、AIに合わせて伸ばしていく必要があると思っている。
目指すのは、深さではなく広さだ。
人間の知識を増やすといっても、全部を完璧にする必要はない。ネットワークに詳しくなり、システム開発に詳しくなり、HTMLとCSSを完璧に理解する。そういう話ではない。
必要なのは、たとえばこういう広く浅くの知識だ。
この程度を知っているだけで、AIへの聞き方が変わる。そして新聞は、広く浅く何でも読めるという点で、このインプットに向いていると思う。
昔は、狭く深く知識を貯めた人の方にチャンスがあったかもしれない。たとえばネットワークエンジニアなら、深いところまで知っている人が優秀だと言われた。
今は違う。浅く持っておけば、そこから先はAIに聞きまくって深くできる。深くした内容をアウトプットすることもできる。
だから、広く浅く持っていて、AIに的確に聞ける能力の方が重要になっていると思う。そして、返ってきた文章を理解する能力も同じくらい大事だ。
ClaudeやChatGPTに「この難しい話を簡単に説明して」と頼めば、簡単に説明してくれる。HTMLで簡単な資料や図を作ってもらうこともできる。AIで勉強することも、もちろんできる。
ただ、AIを使えても限界はある。理由は、人間の知識量が少ないからだ。
AIを使えば、アウトプットはめちゃくちゃ出る。ほとんどのことはできてしまう。それでも、AIは人間が使う道具だ。使う人間が負けてしまうと、ちゃんとしたアウトプットは出てこない。
AIより賢くなれと言っているわけではない。薄く広く知識を持っている人が強い、ということだ。
学歴がなくても、チャンスはあると思っている。
薄く広く知識を持っているのは誰か。考えてみると、経営者や上流で仕事をしている人だ。学歴が高い人も、知識量は多いと思う。だからAI時代も、そういう人が勝つ可能性は高いのかもしれない。
ただ、私は勉強が全然できなかった。学歴も低いし、暗記もできない。それでも、薄く広くなら覚えられる。
だから逆に、学歴がない人にもチャンスはある。行動力を持ってガンガンやっていけば、道は見えてくると思う。
前に「AI時代に勝てる人」で、浅く広い知識が武器になると書いた。その考えは今も変わっていない。
もう1つ大事なのが、知識を分かりやすく伝える力だ。
私も、喋るのが得意な方ではない。それでも、人にうまく伝えること、AIにうまく伝えることは、これから非常に重要になると思う。
イベントをやっていると、「この人は知識がすごくあるけれど、伝えるのが下手だな」と感じることがある。そうなると、いくらAIを使えても「なんか信用できないな」となりかねない。
知識の量があれば信用されるかもしれない。でも、伝え方が下手だと微妙になってしまう。伝える力と、薄く広くの知識。この2つは、ぜひ心に留めておいてほしい。
AIがあっても、勉強は要る。これは実体験から言える。
AIが出てきて、人間はもう勉強しなくていいんじゃないか、という論争がある。正直に言うと、私もAIがあれば勉強はあまり必要ないと思っていた。
でも今は、した方がいいと思っている。しないと、そもそもAIを使いこなせないからだ。
以前、子供のAI教室を開いた。小学生ぐらいの子供たちが、AIを使って自由研究をやってみよう、という内容だ。
それまでの私は、こう考えていた。子供でも文章さえ読めれば、AIでいろいろなものが作れるのではないか。自由研究も簡単にできるのではないか。
実際は、そんなに甘くなかった。
子供たちがつまずいたのは、AIの操作ではなかった。
長文になると「うわ、これ読みたくない」と思ってしまう子が多かった。
ここで分かったのは、AIを使いこなすには、使う人間が優秀である必要があるということだ。文章の要点を捉え、大事だと判断し、理解したうえで次の命令を出す。文系でも理系でもいい。この力がめちゃくちゃ重要になる。
だから、AIが出てきたから小学生は勉強しなくていい、という話ではないと思う。むしろ、勉強しないとAIを使える人と使えない人の差が広がってしまう。
これは大人も同じだ。AIを使えるから勉強しなくていい、ではない。常にインプットが重要だし、それをしっかり伝える力も重要だ。
私自身、Mythosに関わるサイバー犯罪が増えているという話を聞いて、関連する本を見つけて買った。こういうインプットの時間は、AIが出た今だからこそ大事にしたい。
これから大事になるのは、国語と読書だと思う。
私にも子供がいる。子供に何を教え、何をやらせるか。今は時代の転換期で、正直かなり迷う。
それでも、基本的な国語は非常に重要だと感じている。
数学はいらない、という論争もあると思う。ただ、普通の勉強で身につく最低限の知識は、これからも必要だ。そこは変わらない。
AIでインプットすることはできる。それでも私は、新聞のような媒体で、自分が全然興味のない情報も頭に入れておくことが大事だと思う。
知らないことは、そもそもAIに聞こうと思えない。私はそう感じている。だから、勝手に入ってくる情報に価値がある。
会社でAIを入れるときも、先に見るべきは人だと思う。
AIの道具は、誰でも同じものを使える。差がつくのは、使う人の知識量と、文章を読む力と、伝える力だ。ここまでの話は、そのまま会社にも当てはまる。
たとえば、こういう状態ならAIは活きない。
全員を専門家にする必要はない。HTML、CSS、システム、ネットワーク、データベースが何をしているか。その程度の土台があれば、深いところはAIに聞いて掘れる。
そのうえで、AIに分かりやすく頼む力と、出てきたものを社内の人に分かりやすく説明する力を育てる。知識があっても伝わらなければ、社内でも信用されない。
道具を配るより先に、使う人の知識を底上げする。 AI時代の社員教育は、ここから始めるのがいいと思っている。
私たちは、AIを使える人ではなく、AIを使いこなせる人を増やしたいと考えている。
子供のAI教室で分かったのは、AIの操作より先に、読む力と聞く力が要るということだった。会社でも同じだ。道具の使い方だけを覚えても、知識と伝える力がなければ、AIは意図しないものを返してくる。
研修では、受講する方の実際の業務を題材に、AIへの聞き方と、返ってきた内容の読み方まで一緒に進める。
個人の方には、AI駆動開発育成所もある。学歴に関係なく、薄く広く知識を積みながらAIで形にしたい人に向いている。
社員にAIを使わせているが、思ったような成果が出ない。何から学ばせればいいか分からない。そんな悩みがあれば、今の状況を聞かせてほしい。無料相談はこちらから気軽に連絡してほしい。
この内容は動画でも話しています: https://youtu.be/6diA196NiU4
AIテレアポは必要ない、と私は思っている。電話を受ける社長の立場と、AI面接官のサービスを作って営業し、やめた経験から、AIの電話はなぜ気づかれるのか、高額な法人営業で成約するのか、AIに任せていい仕事と人が持つべき仕事の線引きを整理した。営業や採用にAIを入れるか迷う経営者・担当者向け。
AI人材の市場価値は、発信より他者評価と自動化で決まると思う。横浜でAIと詐欺のイベントを開いた元警察官の私が、参加者のほとんどがAIを使っていなかった現実から、FDE人材がいない理由と、24時間エージェントより先に今の仕事を自動化する順番を書いた。経営者・会社員向け。
IT業界への転職は、AI時代の今はおすすめしない。保育士の姉からIT企業に移りたいと相談を受け、システム会社を経営する私は止めた。キラキラに見える業界の中で、AIを使うほど仕事が増え、労働時間も減らない現実と、AIの知識を活かすならどこか、システム会社が向かう先を書いた。転職を考える人と経営者向け。