AIテレアポは必要ない、と私は思っている。電話を受ける社長の立場と、AI面接官のサービスを作って営業し、やめた経験から、AIの電話はなぜ気づかれるのか、高額な法人営業で成約するのか、AIに任せていい仕事と人が持つべき仕事の線引きを整理した。営業や採用にAIを入れるか迷う経営者・担当者向け。
この記事の要点
会社の代表をしていると、知らない番号から電話がかかってくる。出てみると、聞いたこともない会社の営業だ。「こんな商品にご興味はありませんか」。
正直、まず思うのは「なんでこの人は私の電話番号を知っているんだろう」ということだ。そして、興味はない。ほとんどの場合そうだ。
最近は、そのテレアポをAIがやるサービスが出てきた。AIで人を置き換える流れの中で、営業も採用もAIに任せる話が増えている。私たちも、AIの面接官のサービスを作ったことがある。
そのうえで書く。私は、AIのテレアポは必要ないと思っている。
AIのテレアポが来たら、私は即切る。
この点は、人によって見解が分かれると思う。AIのテレアポを作った人は、きっと「めちゃくちゃいいよ」と言うはずだ。ただ、受ける側を少し想像してほしい。
人のテレアポでさえ、いきなりかかってくる。「大丈夫です」と断っても、しつこい営業マンだとそこから押してくる。
こうしてグイグイ来られると、もう嫌だなと思ってしまう。たまたま自分がその商品を探していたなら、話を聞くこともあるかもしれない。でも基本的には、テレアポはあまり好きではない。
実は、私たちも試しにテレアポをやったことがある。やってみて、向いていないと感じた。プッシュ型の営業そのものが、あまり好きではないのだと思う。
人がやっても嫌な思いをするものが、AIになる。受ける側としては、AIだと気づいた時点で即切る。 これが正直なところだ。
リードは取れても、成約まで届くかは疑問だ。
AIのテレアポで、商談の入口は作れるかもしれない。2回目からの営業は、普通に人が担当するのだと思う。問題は、その入口から高額な商材が売れるかどうかだ。
自分が電話を受ける側だったら、と考えてみてほしい。
前者なら、まだありかもしれない。でも後者を、テレアポの営業がきっかけで買うだろうか。
私はそこが信じられない。よほど良いサービスなら別だが、なかなか難しいと思っている。
営業は、商材を売り、相手にお金を払ってもらう仕事だ。そこでコストを削りすぎると、逆にものが売れなくなる気がしている。
だから私たちの会社でも、AIの営業を使うかと聞かれたら、今はまだ使わない。
今の技術だと、AIの電話には大抵気づく。
AIだと分かるかどうかは、かなり重要だと思う。たとえば問い合わせフォームからの営業は、AIでやっているところが多いらしい。文章なら、AIかどうかは分からない。
電話でも、AIの話し方は相当リアルになってきた。人間かどうか全く気づかないなら、もしかしたらありなのかもしれない。でも実際は、こういうところで気づく。
共感してくれる人がいたら嬉しいのだが、私は営業の電話で相手のことを聞いてしまう。
「なんでうちに営業してきたんですか」「どこで調べたんですか」。そう聞くと、AIはそこに答えられなくなる。その時点で、私はAIだと気づく。
想定外の質問に、その場でオリジナリティのある答えを返す。ここがAIには難しいところだと思う。少なくとも今の技術では、まだ厳しいと個人的には見ている。
AIでもいいと思う場面は、ちゃんとある。
1つは、カスタマーサクセスのような仕事だ。的確なパターンが決まっていて、そのパターンに沿って答えるなら、AIでも悪くないと思う。
もう1つは、フォーム営業やメールだ。ここは自動化してもいいと思っている。
ただ、自動化しても、最後に人がものを買うのは心が動いたときだ。全部をAIでどんどん効率化して、それで良いものができるかというと微妙だと思う。今のところは、人とAIのコラボレーションが重要だと考えている。
1年後には、人間のように自然に話すAIの営業が出てくるかもしれない。そうなったら、どんな未来になるのか。正直に言うと、分からない。
人が人にものを売る。それが本当に、AIが人に売る形になっていくのか。ここには少し不安を抱えている。
AI面接官は、作って営業したうえでやめた。
私たちが作ったのは、LINEで1次面接をするサービスだった。そこで足切りをして、通った人を本面接に進める。そういう形を考えて、実際にサービスとしてやっていた。
今は、AI面接官のようなサービスがかなり出ている。使っているのは、主に大企業だと思う。ただ、本当にニーズがあるかと言われると、私はあまりないと感じてやめた。
理由は3つある。
私自身も、このサービスの営業をしていた。そこで言われたのは「ちゃんと本人の顔を見て話したい」という声だった。
AIを使うこと自体はいい。でも、それで落とすか落とさないかは決めたくない。AIの判断では分からないし。そんな反応だった。
人と人を大事にしている会社ほど、AIと話す面接、AIと文章でやり取りする面接は難しいのだと思った。本当に大量の応募をさばく必要があるなら別だが、私はそれも難しいと感じている。
受ける側に立つと、AI面接はかなり微妙だ。
私たちの会社は、そんなに応募が来るわけではない。だから履歴書が届いたら、1回会って話してみる。それで全然いいと思っている。
中小企業のほとんどは、足切りをする必要がない。大企業ならあるかもしれない。それでも、申し込んでくれた人の気持ちは考えたい。
せっかく申し込んでくれた人が、AIと対面で話す。そこで「面接不合格です」と言われる。言われた側は「え?」となるはずだ。
自分が生きてきた過程を、AIに判断される。それが効率化につながるならいいのかもしれない。でも、そこまでAI化してしまうのかという疑問は残る。
私なら、AIに面接されて不採用と言われたら「この会社、ふざけるな」と思ってしまう。テレアポと同じで、受ける側に立つと見え方が全く変わる。
AIで効率化が進む今、人がやるべきことと、AIの方がいいことを、少しずつ線引きする時期に入っていると思う。
法人営業で最後に効くのは、人と人のつながりだ。
安い商材や個人向けのサービス、通販のようにデジタル上で買われているものなら、AIでいいと思う。でも、法人営業は難しい。
「この人、本当にいい人だよね。ちょっと興味もあるし、この人のために買ってやろうかな」。そういう判断は、実際にあると思う。AI時代には、ここが非常に重要になる。
たとえば私は野球が好きで、ベイスターズの試合をよく見に行く。商談の中でその話が出て、相手が「私もベイスターズ好きなんです」と返してくれる。
「じゃあ、ぜひ一緒にやりましょうよ」。そんな会話から仕事が始まることもあるし、私はそういう会話が好きだ。丁寧で、返しが良くて、コスパがいいAIの営業もありだと思う。でも雑談ベースの会話は、まだAIには難しい。
前に「AI時代の営業は会って話すしかない」で、会って話す営業に戻った話を書いた。その考えは今も変わっていない。
私自身、AIを使い倒している側だ。「AIエージェントの24時間稼働は必要か」でも書いたとおり、自動化は進めている。その方針は変わらない。
それでも、営業と採用の入口は例外だと考えている。会社として線を引くなら、私はこう分ける。
もしAIの営業マンが、相手のことを深く把握し、ストーリーまで持っていたらどうか。「この営業マンだから買いたい」と思わせるほどなら、導入したい。でも現実は、商品の情報を読み込ませて営業させる話だと思う。それは厳しい。
効率化は大前提だが、効率化しすぎるとうまくいかないこともある。 AIを使う側の目線で見ても、結局重要なのは対人だと思っている。
私たちは、AIで何でも置き換えるのではなく、どこまでAIに任せるかを決められる会社を増やしたい。
AI面接官を作ってやめた経験から分かったのは、AIでできる範囲とできない範囲がはっきりあることだ。道具を入れる前に、自社の業務のどこを自動化し、どこを人が持つかを決める。そこが抜けると、AIのテレアポのように、効率は上がっても売れない仕組みができてしまう。
研修では、受講する方の実際の業務を題材に、この線引きから一緒に進める。
個人の方には、AI駆動開発育成所もある。AIを使い倒しながら、自分の仕事のどこを人が持つかを考えたい人に向いている。
営業や採用にAIを入れるべきか迷っている。どこまで自動化していいか分からない。そんな悩みがあれば、今の状況を聞かせてほしい。無料相談はこちらから気軽に連絡してほしい。
この内容は動画でも話しています: https://youtu.be/afk1WCQHtBk
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