オフショア開発で生き残る会社の条件を、ハノイの45人ほどの開発会社と上野で会った私が書いた。日本の大手案件を直接受け、日本のSIerを下請けに使う。強さは開発手法ではなく、日本語で対面営業する力だった。AI体制の作り方、実績と信用の掴み方も整理した。開発会社の経営者・営業担当者向け。
先日、上野でベトナムの開発会社の方と会った。ハノイにあるオフショア開発の会社で、わざわざ日本まで来てくれた。
いろいろ聞くうちに、正直、驚いた。ベトナムの会社が元請けに立ち、日本の会社を下請けに使っているというのだ。
私の会社もベトナムに拠点を持っていて、かなり厳しい状況だった。だから、オフショア開発はもう厳しいという実感がある。それでも、生き残っている会社は確かにあった。何が違ったのかを、忘れないうちに書いておく。
この記事の要点
その会社は、45人ほどの小規模なオフショア開発会社だ。
知り合ったのは、2年前ぐらいの展示会だった。その後、私はベトナムにある実際のオフィスにも行っている。付き合いは今も続いている。
ベトナムのオフショア開発会社には、200人、300人と規模をうたうところが結構ある。それに比べると、45人はかなり小さい方だと思う。
面白いのは、人を増やしていないことだ。むしろ減らしていっている、と言っていた。人数で勝負しない姿勢は、今の時代に合っていると感じた。
その会社は、日本の仕事を100%でやっている。
ベトナムのオフショア開発あるあるで、政府の案件をやっていますとうたう会社がある。政府の開発案件は結構あるらしい。ただ大変で、多くの人がやりたがらない案件がめちゃくちゃある、とも聞いていた。
だから私は、政府の案件をやっていると言われても、あまり信用できないと思っていた。そこでその会社の人に、政府の案件ってどうなんですかと聞いてみた。
返ってきた答えは、はっきりしていた。
私には、事情の細かいところまでは分からない。ただ、その会社が日本の仕事に絞っている理由は、よく伝わってきた。
この会社のすごさは、商流の位置にある。
まず、日本の案件を今も直接受注できている。しかも、その直受けの案件はめちゃくちゃ大手のものだ。
そのうえで、日本のSIer企業を下請けのパートナーとして使っている。使うという言い方が正しいかは分からないが、連携して一緒にやっているそうだ。
聞いたとき、思わず「えっ」と声が出た。昔は逆だったからだ。
さらに、日本の会社をPMのような形で、お客さんの現場に入れているという。ある意味、日本の会社をSESとして常駐させている形だ。
ベトナムが上、日本が下という商流を、飛び越えている。 こういう事例は、私はあまり聞いたことがなかった。本当にすごいと思う。
商流そのものを、昔ほど気にしない時代になってきたと思う。
もちろん、気にするところはまだある。ただ今は、上か下かよりも、作れるかどうかが問われる。そこがだいぶ変わってきた、というのが正直な印象だ。
私たちも昔は、商流の下で下請けとして仕事をしていた。その上には、差額だけを取っている会社もあった。
特にSESでよく見るが、何もせずに仲介料だけ取る会社がある。そういう会社は本当にやばいと思う。なくなるのではないか、と個人的には思っている。
その会社のいちばんの強みは、営業だった。
どうやって営業しているのかを聞くと、ベトナムから日本へ会いに来ているという。それも1回ではなく、何回も往復しているそうだ。
ベトナムには、日本語を話せる人が結構いる。だから対面のコミュニケーションでも、言葉で困ることがまったくない。
営業のコストパフォーマンスだけを見れば、非常に悪いやり方だ。それでも実際に、その分を取り返せている。実際に会いに行くことの重さを、改めて感じた。
営業力は、これからの時代に非常に重要になるスキルだと思う。昔からずっとそうだったはずだが、今はなおさらだ。
では、特別な開発手法を持っているのか。ぶっちゃけ、そうではない。
エンジニアを何人も並べるより、プロジェクトマネージャーが1人、シニアエンジニアが1人という形で開発している。日本の会社のやり方と、大きく変わるところはないと思う。
違ったのは、考えていることの中身だった。
私の会社も、ベトナムに拠点がある。正直に言えば、エンジニアが厳しい状況になっていた。
私たちの場合、ベトナムにはエンジニアしかいなかった。だから、きつかった。
その会社は、営業チームがしっかり作られている。しかも全員が日本語を話せる。言葉の壁がほとんどない状態で、営業ができている。これは、めちゃくちゃ強い。
前に、オフショア開発はAIでほぼ壊滅したと書いた。その見方は今も変わっていない。多くのベトナムのオフショア開発会社は、本当に厳しいと思う。
今回の会社は、その例外だ。営業チームを持っていたかどうかが、明暗を分けた。全員が全員、負けているわけではない。この会社は、これから伸びていきそうだと私は思っている。
AIの体制構築は、早めにやらないと手遅れになる。
日本の会社でも、AIの体制をどう作るか、まだよく分かっていないところは多いと思う。まだできていない、という会社もあるはずだ。早めにAIを触って、どう開発するのが一番いいのかを考えた方がいい。
理由は単純で、営業力のある会社がすでに強くなっているからだ。体制づくりを後回しにすると、差は開いていくばかりだと思う。
これから営業力は、もちろん重要になる。ただ、それと同じくらい実績が重要になる。
誰でもAIで何でも作れる時代になると、問われるのは中身だ。
以前、ある会社とZoomでミーティングをしたことがある。営業でやらないといけないことは何ですか、と質問された。
その会社のホームページを見ると、微妙にAIっぽかった。
お客さんが相見積もりで、その会社のホームページを見たとする。AIで作った感じが出ていると、どう映るか。みんなAIを使うのは当たり前だが、この会社は技術力が低いのでは、という目で見られてしまう。
だから、ホームページを整えた方がいいのでは、と伝えた。しばらくして、ホームページを改修しました、と連絡をもらった。
些細なことかもしれない。それでも、できることはしっかりやる。できることをやったうえで、会って信用を掴んでいく。 これが非常に重要だと思う。
Zoomでコスパよく済ませられることが、逆にマイナスになっている。
コロナの時期に、Zoomでの打ち合わせが一気に主流になった。今も、Zoomでミーティングするのは当たり前の世の中だ。
それでも私は、この前も富山へ行った。お客さんのところに会いに行き、プロジェクトが始まっている現場で、進捗どうですかと顔を合わせて聞いている。
トラブルがあったら、すぐに行って対応する。昔なら、それが当たり前だったと思う。
今はZoomで済ませられる分、その当たり前が抜け落ちやすい。信用という面では、そこがマイナスになっているのではないかと思っている。
ただ、何でも対面にすればいいわけではない。ずっと対面で通えば、それこそコスパが悪くなる。
この組み合わせ、ハイブリッドで回すのが一番いい。会って話すことの意味は、AI時代の営業は会って話すしかないにも書いた。今回のベトナムの会社は、それを海を越えてやっていた。
勝ち負けを分けているのは、道具より人と体制だ。
生き残っている会社には、共通点があると感じている。AIをうまく使っていること。危機感を持っていること。そして、営業力があることだ。
今回の会社を振り返ると、AIの道具で勝っていたわけではない。開発の形も、普通のものだった。差を作っていたのは、人と体制だった。
逆に、エンジニアだけがそろっていても、売る人がいなければ厳しい。私たちのベトナム拠点が、まさにそうだった。
これはオフショア開発だけの話ではない。日本のシステム会社にも、個人にも同じことが言えると思う。
会社にとって一番重要なのは、営業だ。その営業を、AI時代にどうやっていくか。根本から考え直す必要があると、私は思っている。
私たちは、AIの道具を入れて終わりにしない研修をしている。
今回の会社も、AIでどう開発するかの体制構築を課題に挙げていた。道具の操作を覚えるだけでは、その体制はできない。会社の業務に合わせて、AIに何を任せ、人が何を担うかまで一緒に組む。
個人でAI駆動開発を身につけたい人には、AI駆動開発育成所もある。
AIの体制をどこから作ればいいか。営業や実績づくりと、どう組み合わせればいいか。迷ったら、まずは無料相談で今の状況を聞かせてほしい。
この内容は動画でも話しています: https://youtu.be/dCnYff5oIVI
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