AIで作ったアプリが使われない理由を、ビーチボールの大会記録アプリを500人ほどに使ってもらっている私が書いた。大衆向けを狙わずコアな100人から始める考え方、アプリ内課金が難しい理由、無料で出して受託開発につなげる稼ぎ方まで整理した。アプリを作り始めた個人・経営者向け。
朝起きたら、iPhone Duoが届いていた。届く予定は1月23日になっていたのに、なぜか急に届いた。嬉しいのか複雑なのか、正直よく分からない。
寝起きの頭のまま触ってみた感想は、まだまだだな、だった。端末が悪いわけではない。対応しているアプリが少なすぎるのだ。
持っている人が限られる端末に、わざわざ対応する作り手は多くないと思う。それでも今は、AIに「iPhone Duoに対応して」と頼めば対応できてしまう。作る手間の問題ではないのだ。
そう考えたとき、最近ずっと引っかかっていたことがはっきりした。AIでアプリはこれだけ作りやすくなったのに、作られたアプリはほとんど使われていない。
この記事の要点
作れる人は増えたが、使われるアプリは増えていない。Claude CodeやCodexを使えば、誰でも簡単にアプリが作れる世界線になった。これは多くの人が実感していると思う。
では、それで身の回りはどれくらい便利になっただろうか。作ったアプリを、自分や周りの人はどれくらい使っているだろうか。多くの人は、そんなに使っていないのではないかと思う。
私の周りも同じだ。社内では自動化をかなり進めている。それでも、個人が作ったアプリでとんでもなく流行っているものがあるかといえば、ない。
みんなが使っているのは、Instagram、X、YouTubeだ。それ以上でもそれ以下でもない。これだけ作りやすくなったのに新しいアプリが使われないのだから、アプリ開発はやっぱり難しいと私は感じている。
大衆向けのアプリを個人が当てるのは、ほぼ不可能に近いと思う。市場はもう出来上がっている。ここからInstagramのようなものを自分の手で作れるかといえば、正直そうではない。
iPhoneは今、発売すれば売れる。でも、最初からそうだったわけではないと思う。売れなかった時期もあったはずで、発表すれば売れる状態は長い時間をかけて作られたものだ。
自分のアプリをリリースしたとき、どこで公表するだろうか。何人が食いつき、何人が初動でダウンロードしてくれるだろうか。
考えてみると、そこまで多くないはずだ。集客力やマーケティングがないから、作ったアプリはだいたい使われずに終わる。これは私も同じだ。
私自身、大衆向けの大きなアプリを個人で出しているわけではない。日本人が出したアプリで、めちゃくちゃうまくいっているものも、ほとんどないと感じている。
使われるアプリを作るなら、狙うのはコアな100人だ。夢物語のようなダウンロード数を目指す必要はないと思う。特にこの時代においては、コアにコアに攻めていくほうがいい。
私はビーチボールというマイナースポーツをやっている。この競技では、試合の結果や大会の記録をすべて紙で管理していた。それをデジタルに変えるアプリを作っている。
最初は1人で作っていた。作っているうちに、これはもっと広げられそうだと思った。そこで県の連盟の人と話をし、日本ビーチボール協会の人に実際の大会で使ってもらった。
ここまで来ると、普及はめっちゃ簡単になる。団体の中心にいる人たちが「これを使ってください」と言えば、競技をしている人全体に届くからだ。
コミュニティや団体にアプリを入れていくのは、そんなに難しくない。今、このアプリは500人くらいがダウンロードして使ってくれている。新規のアプリを1つの会社が作って500人が使っているのだから、まあ悪くないと思っている。
大衆向けのものは、GoogleやYouTubeがほとんど作ってしまった。それでも、本当にピンポイントだけに刺さるアプリは、まだ残っている気がする。たとえば、こんなものだ。
どれも、ちょっと便利になる程度のものだ。でも、そこに刺さる人には必要とされる。
大衆向けに作ると、Google、YouTube、Meta、Instagramに真似されたら勝てない。そもそも、それと同じじゃないかと言われるものがほとんどになる。
私のスポーツ向けのアプリも、いろいろな競技に広げようとしたら難しかったと思う。ビーチボールというマイナースポーツに特化したからこそ、ニーズがあって使われている。
私の場合は、ビーチボールを10年くらいやっていた。だからこのアプリが作れた。ある意味、チートだ。
コミュニティがない人は、生活の中の不便から探せばいい。ちょっと不便だな、これがあったらいいな、と思うことは誰にでも必ずある。大衆向けではなく、本当に細かいところでいい。
あわせて、SNSでの発信は続けたほうがいい。よく有名な人が「コミュニティを持ったほうがいい」と言うが、持つのはそんなに甘くない。
それでも、発信やコミュニティがあれば、リリース後の初動で使ってくれる人は増える。だから私は、リアル×デジタルのアプリを作っていくしか勝てる道はないと思っている。
アプリを作っても、それだけで収益が立つわけではない。私のビーチボールのアプリも、収益がめちゃくちゃ立っているかといえば、別に立っていない。
ここは勘違いしてほしくない。アプリで人を集めて、アプリ内で課金させる。これはめちゃくちゃ難しい。
Instagram、YouTube、Facebook、X。どれも、ほとんどの人にとっては無料だ。有料会員になるとバッジがつく仕組みはあるが、ほとんどの人は無料で使えてしまう。
つまり、アプリはほぼ無料で使えるものになっている。その中で課金制にするのは、非常に難しい。課金が成り立っているものを考えても、次のくらいしか思いつかない。
私自身、アプリにお金を払っているのはAIくらいだ。その他には、ほとんど払っていない。
だから、無料でやるしかない。では、無料でどうやってお金を生むのか。SNSなら広告があり、コミュニティで囲ってメンバーシップで料金を取る方法もある。
ただ、コミュニティにも意外とみんなお金を払わない。結局、アプリにはお金を払ってもらえない前提で考えたほうがいい。
アプリは無料で作り、自分の広告宣伝として出す。アプリの中でまず課金させようと動かないほうがいい、と私は思っている。
出す意味を変えるのだ。「私はこういうものが作れます。何か不便なことはないですか」と知ってもらうために出す。
そこで何か頼まれたら、「これは無料ではできないので、このくらいです」とお金をいただく。これが一番早く収益化できる方法だと思う。
アプリ内課金で稼ぐ場合を計算してみる。
副業なら悪くない金額だと思う。でも、会社として見ると話が変わる。私もシステム会社をやっていて、月5万円はもちろん嬉しい。
ただ、そのために有料会員と無料会員を作り分ける工数は、割に合わない。だったらアプリは広告宣伝と割り切り、お金はその他のことでいただく。そのほうが収益性も単価も高くなる。
「これと違うものも作れませんか」と言われて、受託開発につながる。これが一番素早く稼げる道だと思う。実際に私も、そこからいろいろな仕事につながっている。
1万人に使われていたら、もちろんすごい。でも、500人に使ってもらい「この人はこんなことができる」と知ってもらう。それだけでも、すごいことだと私は思う。
コアに特化したアプリを作り、アプリ内では収益化を目指さず、受託につなげる。そういうアプリを量産していく。これが間違いなく早い道だ。
個人のアプリに限らず、会社の中で作るツールも同じだと思う。AIで作れるようになったのは、会社も同じだからだ。
でも、作っただけでは使われない。全社に向けて「便利なツールを作りました」と出しても、初動で使う人は少ないはずだ。個人のアプリが集客力なしで埋もれるのと、同じ構造だと考えている。
逆に言えば、使われる条件も同じだ。
ビーチボールで協会の人に大会で使ってもらったように、中心の人が使えば周りに広がる。社内でも、誰に最初に使ってもらうかで結果は変わると思う。
それに、AIで作ることはこれから多くの人ができるようになる。我々もアプリ、Webサイト、自動化といろいろ作っているが、作れること自体は差にならなくなっていく。
アプリの出来より先に、誰がどう使うかを決める。ここが抜けると、どれだけ作りやすくなっても使われない。
AIに頼めば、iPhone Duoへの対応すらできる時代だ。足りないのは作る力ではなく、使ってもらう道筋のほうだと思う。私が大事だと思っている順番はこうだ。
もう1つ大事なのは、作るだけで止めないことだ。システム開発をしつつ、そこから自動化や仕組み化までやれる状態にしていく。これがAI時代にはめっちゃ重要だと思う。
使われるものを作る、と言うのは簡単だ。でも実際にはかなり難しい。だからこそ、作る前に使う人と運用を考えたい。
AI駆動研究所では、AIで作れるようになった先で、使われる仕組みまで作れる人を育てる研修をしている。今回の内容に近いものを挙げる。
個人で特化アプリを作り、受託につなげていきたい人にはAI駆動開発育成所がある。
「AIでツールを作ったが社内で使われていない」「どの業務から手をつければいいか分からない」という段階でも構わない。まずは無料相談で状況を聞かせてほしい。
この内容は動画でも話しています: https://youtu.be/EryjUWUs_7c
AIで作ったシステムを本番運用すると何が起きるのか。趣味のビーチボールバレーの大会運営をAIでDX化し、100人規模の大会で使った私が、点数が入力できないなどのトラブル、4つの権限の洗い出し、Claude Codeとの仕様の壁打ち、ITリテラシーの壁まで書いた。社内システムをAIで作りたい経営者・担当者向け。
スマホで仕事する時代に、AIをどう使うか。iPhone Duoを当日に予約しても買えなかった私が、スマホからClaude Codeに指示してMac miniに作業させている今のやり方と、持ち歩ける大画面が欲しい理由、メガネ型の端末で変わりそうな働き方まで書いた。移動中も仕事を回したい経営者・担当者向け。
AI時代に自社プロダクトを作る理由を、AIでフルスクラッチしたECサイト「ふとる飯」を社内ほぼ2人で回す私が書いた。作れるだけでは差がつかない今、価値になるのは作って売った実績だ。原体験からの企画、AIとの壁打ち、PDCA、売る力まで整理する。プロダクトを作りたい個人・経営者向け。