AIで作ったシステムを本番運用すると何が起きるのか。趣味のビーチボールバレーの大会運営をAIでDX化し、100人規模の大会で使った私が、点数が入力できないなどのトラブル、4つの権限の洗い出し、Claude Codeとの仕様の壁打ち、ITリテラシーの壁まで書いた。社内システムをAIで作りたい経営者・担当者向け。
点数が入力できない。入力したデータがうまく届かない。入力した瞬間に、データが飛ぶ。
AIで作ったシステムを、100人規模のスポーツ大会で初めて本番運用した。トラブルは、めちゃくちゃ起きた。
正直、テストをしっかりやれよという話ではある。それでも、やってよかったと思っている。大会でしか得られない状況があり、自分が思っていたことと違う部分がたくさん見えたからだ。
この記事の要点
きっかけは、10年続けている趣味のスポーツだった。
私はビーチボールバレーというスポーツを、趣味で10年ぐらい続けている。名前から海でやる競技を想像されがちだが、違う。体育館の中で、バドミントンのコートぐらいのスペースを使う。
ボールは、海で空気を入れて遊ぶ、あの風船のようなボールだ。それで、ガチでバレーボールをする。
このスポーツは、DX化がほとんど進んでいない。集計は全部紙でやっていて、本部の集計がめっちゃ大変だ。
1つの大会を運営するのに、なぜか本部に10人ぐらいいる。集計を含めて、いろいろな作業があるからだと聞いた。
これを楽にできるのではないか。10年続けてきたぶん、人脈や縁もある。半年ぐらい前に「やってください」とお願いされ、試しに作ってみることにした。
最終的なゴールは、3月のジャパンカップだ。全国大会のような位置づけで、私がいる埼玉で開かれる。
そこで本当にシステムとして成り立つのか。大会全体をDX化できるのか。今回の大会は、そこに向けた第1弾のテストだった。
本番で動かすと、やはりトラブルは出てくる。
システム会社では、あるあるの話だ。本番運用を始めてから、ここが違った、あれが違ったと見えてくる。それを直していく。
今回は100人規模のイベントだったので、それがすごく顕著に出た。
運営の人の動きを見て、ここはこう表示したほうがいいよね、という気づきも多かった。それを1つずつ回収していく作業が、かなりあった。
自分の想定と現場の違いは、本番でしか見えなかった。
自分はこう思っていたけど、実際はこうじゃなかった。そういう部分がいくつも出てきた。
テストをしっかりやれという話ではある。ただ、大会でしか得られない状況があったのも事実だ。問題が分かっただけでも、プラスになったと思っている。いいテスト、いいデモ体験になった。
自分だけが使うシステムなら、もう誰でも作れる。
今は多くの人が、Claude CodeやCodexを使って、なんとなくシステムを作れる状況になっている。私もそうだ。ただ、ここで聞きたいことがある。それ、自分以外の人も使えますか。
自分は使いやすいけど、他の人が使ったら使えない。システムではよくある話だ。
どういうUIにすれば見やすくなるのか。自分ならこう判断するけど、他の人だとこうなる、という分岐をハンドリングできているか。そこまで考える必要がある。
自分だけで使うなら、まったく問題ない。ただ大会となると、関わる人の立場が分かれる。私のシステムでは、次の4つの権限が必要だった。
この4つの権限でシステムをしっかり組み、連携させないといけない。どこかがうまくいかないと、データが来ない。そうなると、システムとして成り立たないし、大会の運営もできない。
だから、誰がシステムの中でどう関わるのかを最初に洗い出す作業が、非常に重要だと感じた。
AIで作るほど、最初の仕様決めが効いてくる。
バイブコーディングという言葉がよく使われる。ただ、それで何権限も適当に作るのは、結構難しい。
自分が状況をしっかり理解して、これならこう組まないといけない、と判断できること。そもそものシステム理解が軸になる。
AI駆動開発自体は、正直誰でも簡単にできる。こういうシステムを作って、と頼めば形にはなる。
ただ最後のところでは、この権限が必要だからこう組もう、という考え方を持っているかどうかで差が出る。どの権限で、どの画面を出すか。これはシステム開発会社が普段やっている部分で、全員がすぐにできるものではない。
だからこそ、最初にClaude Codeとしっかり壁打ちしてほしい。こういう状況があって、こういう懸念がある。どう作りたいのか、どんな課題があるのか。まず仕様を整理するところから始めるのが大事だ。
システムが大きくなるほど、仕様決めはめちゃくちゃ重要になる。なんとなく作り始めて、なんとなく大きくなっている人もいると思う。それは結構危ない。
最初に構成を組んでおかないと、こういうことが起きかねない。
だから私は、リファクタリングと可読性の改善を意識している。1つのAIではなく、複数のAIに命令することで、リファクタリングがしっかりできる。コードが読みやすくなれば、AIもコードを書きやすくなると思っている。
社内で使うシステムをAIで作る会社も、同じだと思う。使う部署や役職ごとに、誰が何を見て、誰が何を入力するのか。そこを先に決めておくかどうかで、後の手間が大きく変わる。
本番中にすぐ直せるのは、やはりウェブのほうだった。
今回のシステムは、ウェブアプリと、Appleのストアに出すモバイルアプリを連携させる形にしていた。Androidアプリのリリース申請もあった。
モバイルアプリは、アップデートしてもすぐにはリリースできない。申請をして、それが承認されないと出せないからだ。本番中に問題が見つかっても、タイムリーに直すのは難しい。
どちらが正解というより、良し悪しがあると率直に思った。本番で直しながら回すなら、ウェブで素早く直せる部分を持っておく意味は大きい。
導入の壁は、システムよりも人の側にあった。
大会で使ってみて、ITリテラシーの差はめちゃくちゃあると感じた。60歳、70歳でも「これめっちゃ使いやすいね、よかったよ」と言ってくれる人がいた。
その反面、「このシステムのせいで携帯の充電がなくなっちゃうんだけど」という人もいた。何が何だか分からない、という人もいた。
点数がすぐ反映されて、めちゃくちゃ便利になっているはずだった。それでも、これはどうなんだ、昔のままがいい、という反発は正直あった。
どれだけいいものを作っても、使う人が受け入れなければ回らない。
リテラシーの差は、導入のハードルになる。これは会社でAIのシステムを入れるときも、まったく同じだと思う。作る前に、使う人の顔を思い浮かべておく必要がある。
だから、作ったものは他の人に使ってもらってほしい。イベントをやる人は多くないだろうから、最初は彼女や奥さんでもいい。
自分ならうまく使えるけど、他の人だとこう感じる。だからこう作ろう。そうやって別軸の反応を見て、どんどん派生させていく。
作り方としては、最初に要件と仕様を固める。いきなり大きなものを作らず、AIと壁打ちしながら進める。これで作る力はかなり上がると思う。
このシステムは、ほとんどお金になっていない。
まったくないと言うと嘘になるが、正直少ない。それでも、やる意味はあると思っている。
趣味でシステムを作るだけでは、正直あまり意味がない。ただ、周りの友達に使ってもらえば話は変わる。この人はこんなことができるんだ、じゃあこれもできないかな、とお願いされるようになる。そういう好循環が生まれると考えている。
私は身近なところから、DX化やIT化、AI化を進めている。AIを使っていて、Claude Codeに興味がある人なら、自分の周りに何かIT化できるものがないか、どんどん試してほしい。
AIでできることの幅は、めっちゃ広がっている。作ったものを世に出していく。それをコツコツ続ければ、1年後、2年後、3年後には大きく変わってくるはずだ。
ちなみに、システムを作ったことで大会の運営責任者を任される可能性もゼロではない。そこだけは避けて、システムの担当者として関わっていきたいと思っている。
社内のシステムをAIで作るなら、権限と仕様の整理から始めたい。
AIで作ること自体は簡単になった。難しいのは、他の人が使える形にすることと、本番で直しながら回すことだ。会社で進めるなら、そこを最初から押さえておくと遠回りしない。
AI駆動研究所では、企業向けの研修を行っている。今回の内容に近いものを挙げる。
個人で学びたい人には、AI駆動開発育成所もある。
作ったシステムを社内で使ってもらえない、何から仕様を決めればいいか分からない、という段階でもかまわない。まずは無料相談から気軽に連絡してほしい。
この内容は動画でも話しています: https://youtu.be/nlzjFj_ilwY
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